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「そこに敵がいるからな。」

跳ねて斬り、飛んで刺す。
踏めば飛び、刺せば交す。
止まりもせず、進みもせず。
事態は足踏みのまま。

たまたまの一回が腹に入り、鎧は大破してしまい何の意味をも持たない鉄屑に成り下がる。中の臓物が押しつぶされて、口から血が零れた。体中が痛くて仕方がない。

「それでも尚、立ち続けるのか。」
「そこに敵がいるからな。」

それが、武人でないのか?。
そう問いかければマラコーダは笑い、確かにそうだ。と言って言葉を続けた。
「なら一層手加減はしない。」と仮面がニッコリと笑ったように見えた。

「行くぞ」
「いつでもかかってこい。」

血を吐きながらも、向かう姿は、マラコーダには何に見えているんだろうか。
地を踏んで、インシデントソルジャーの形を変えると、声が聞こえた。バタバタと走る足音が5つ。仲間だ。…だけども。

「出てくるな。」

そして、手を出すな。
放つ声は静かで、落ち着いたものであった。闇の中から、細い声がサメラを呼んだ。

「説教も何もかもすべとが終わってからだ。」

これは武人としての戦い。何人たりと侵せぬ領域。

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あきゅろす。
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