考えを纏める頭なんて今はない。
それは一種の仮定であって、証明ではない。それが事実かそうでないのかなんて解らない。命を削って、その先に待っているのは、死なのだろう。頭の中で色々と駆け回る。考えを纏める頭なんて今はない。
「エドワード、黙っておけ」
「でも、ルドルフ…」
「いいから、すぐに治る。気にするな」
布団を掴んで、エッジに背を向けてサメラは再び眠ろうとする。向こうでガサゴソと動いているのがわかる。
「今はの問題でもよ、また吐かないのか?」
「吐かない。」
「ほんとにかよ、」
「吐くか」
少なくとも嘘。だけど、それはカインしか知らない事だが。
「黙っておけ、これは師匠としてだ」
「ひっで!ルドルフ、今までそんな事言わなかった癖によ!」
「寝る。ほら、サッサとよそに行け。」
エッジをコテージから追い出して一人思考に入る。
吐血せども、苦しくもない。ただの栄養失調か?…そんな筈はない。考えてるのは魔法を使える力がどこから来るかだ。
魔力を持たない者が魔を使えるようになったのか。魔法にしてもしなくても、それはサメラの中で這いずり回っているのだ。
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