空に赤が散らかる
咳と共に目覚める。
空に赤が散らかる
視界が一瞬にして変わる。自分の背より高いぐらいの天井が目に入る。そこでコテージの中、と理解して、胸を撫で下ろす。
首を絞める手もない。だけど、まだ苦しい。現実を見回す中で、視線を下ろす。
体に、地面に蔓延るその色。
生きる希望を喰らい尽くす、其色は赤。
人の生き血の色。吐血。
「……人はなにかしらの代償を払い続け、なにかを得る。」
魔道士は、己の魔力を払う。
騎士は、自分自身で支払う。
私は魔力に、命を払うのか。
「おい、ルドルフ!。」
「…どうしたエドワード。」
容態を気にしてかエドワードがコテージの中に飛び込んできた。
口の中が鉄の味が鼻の方にする。
気付かれない程度に眉を潜めて、そう言葉を問いかけた。
「どうしたじゃねぇだろ、ルドルフ。」
「いいんだ。口の中、切ったみたいだから。」
「だから。って、そんなになるわけねぇじゃん。」
口からするり。と抜け落ちる嘘は、すぐにわかるものだった。サメラは後悔する訳でもなく、そこから言葉を重ねる。
「何がこうなったのか解らない。だから、後少し待ってくれ。その時に纏めて話す。」
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