違われて暖かさが消える。
こうやって客観的に見ていたら、今までの旅が夢だったような気がする。起きて支度をして、次の町。街についたら、稼いで、生きる。単調だけれど、変化が見える。この旅は、人と触れ合う旅だ。それと比べて、平和の為の旅は、慌ただしく、通り抜けただけだ。どれが夢か夢でないかなんて、解らない。
「サメラちゃーん。」
「はいはい」
この右手の熱が夢ではないと教えてくれる暖かさが証明。
「ごはん、行こうか」
「うん。」
「ブリッツェンさんも待ってるしな」
小さな手が違われて暖かさが消える。
「サメラちゃんと一緒に行けないの」
俯いた顔は見えず、本能が何かを告げる。何を?解らない、解らない、解らない、解らない。だけども、告げる内容を感じる。
「だってね、だってね。」
ダンサーの顔から頬肉がおち、ただれて、眼球が零れる。
「モウ、生キレナイ、ンモノ。」
「…っ!」
息をするのを忘れる。ダンサーが、ダンサーだったものが迫る。
「ダンサー。」
「三番目の奇術師-Maniac Replica-が、サメラチャンを、呼ンデルワ。」
小さな手が首にかかる。稚児とは考えにくいほどの握力で首を絞めていく。
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