皺をいっぱい飼って眠ってたんだから。
「サメラが放さない。」
「いいんじゃない、サメラ幸せそうに眠ってるし」
昔はね、ここに皺をいっぱい飼って眠ってたんだから。そう考えたら、すごい変化よね。と、眉間を示唆してリディアがいうことを。子供の観察力は幼いながらも鋭いものがある。視線を下ろして、サメラを見ると確かに笑ってる。
「何の夢を見てるんだか。」
「幸せな夢なんだろうな。」
「だから笑ってるんだと思うよ」
辛いときは泣け、嬉しいときは笑え。感情のあるがままであれ。というのは、彼女が今までに経験した故の発言なのか、否か考えていると、リディアが一言放つ。
「カインも嬉しそう。」
「ばっ……」
思っていた事を言い当てられて、声高になるし、顔が赤くなるのも直ぐに解る。そしてもの前に病人が居た事を思い出してすぐに冷静にもどる。
バカを言うんじゃない。と軽く窘めて。カインは頭を抱えた。こいつらは、どうして……!
「とりあえず、サメラ、早く治るといいね。」
「確かにな。」
急がなければならない旅だから。彼女は走っていた。急ぐからこそ、こうしてなし崩しになる。
小さくため息をついて、捕まれる熱を感じた。
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