[携帯モード] [URL送信]
「さぶーん。」

ため息をついて、カインは頭を抱えた。
目の前の女は、常日頃から鉄の女をしている。そして酒が入れば、どうなるか解らない未知数を示している。

「……カイン」
「酔っ払ってるだろ。」
「酔ってない。」

即答する割には目が眠たげな表情をしているのが、わかった。

「眠たいだろう。」
「眠たくない。」

とかいいつつ、目は虚ろだ。…この意地っ張りは兄弟して譲り受けているのか。そう考えると頭が痛くなる。

「さぶーん。」

不思議な効果音と共に、サメラがカインの膝の上に頭を乗せる。


「おい、サメラ。」
「……」
「おい、聞いてるのか?」

そっと顔をのぞき込むと、静かに船を漕いでいる。……人騒がせな奴だ。
カインはもう一度ため息をついて、頭を抱えてから、まじまじと膝の上で眠る熱を見た。

風と共になびく銀糸。
閉じられた中に潜む静かな青。
片割れと違えぬ家の情報。
似ている癖に似てない背丈。
それから、小さな体から弾け飛ぶような勢いがどこからできるのだろうか。

カインの疑問は、ふつふつと湧いて、留まる事を知らない。

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!