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「ほっとけ」

「何を呆けている。」
「弱点なんか無さそうな感じなのにな。」
「ほっとけ。」
「人は何かしら弱点がある。私は、学がないのが、弱点だと思ってる。」

ぐい。と喉に流し込んで、息をつく。風が頬を撫でて、通りすぎた。綺麗な黒が、空に広がる。

「学がない?」
「根無し草だしな。まともな教育は受けてない。足し算引き算ぐらい出来たらキャラバンで困らなかったしな。」

遠い目で振り返ってみれども、そこにはなにもない。

「ま、出来る人がやるルールだから別に問題は無かったんだかな。」
「ある程度の嗜み。としてか?」
「そういうとこだな」

ちゃらんぽらんな癖にそういう所だけ真面目だったかな。言い切ると首を鳴らして、薪木をくべる。勢いが増して、凪いだのを見てから、カップに飲み物をなみなみと注いで飲み干して空になった入れ物を床に置く。

「お前それ、料理酒…!」
「ほっとけ!ちょっと杏仁の気分なんだ!」
「それを言うならアンニュイだろうが……」

酔っ払ってやがる。こいつ。
カインは小さくため息をついた。



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