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弱点。なら、あるが。

首を傾げて、サメラは息を吐いた。無我夢中が故に覚えていない。思い返しても頭はぼんやりとして、思い出さない。

「あんまり覚えてないがな。」

ずず。と紅茶を啜り、カップで暖をとる。ちょうどいいくらいの熱さが、なんだかホッとさせる。

「……」

やわらかな沈黙が落ちる。
心地の良い、静かな闇。
風のうねりが聞こえる。
その先には、何もない。
砂が飛んだ。

「龍騎士にとって、飛ぶ。とは何だ?」
「また、妙な事を聴くんだな。お前も飛ぶだろうが。」
「…私の跳ぶとカインの飛ぶでは意味が違う。」

有限がある跳躍と、限りない飛躍では、天と地ほどの差が見受けられる。すくなくともそれほど差が有っていいものだと思う。

「脇道に反れるただの飯の種の一つだ。」

これを生業としているものと、していないものとの差はどこに?

「お前は生業の幅が広すぎる。」
「ほっとけ。」
「そういうとこで弱点とかないよな。」
「弱点。なら、あるが。」

平然と答えるサメラとは真逆にカインは空のカップを落とした。

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