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その手は、殺す手であり人を生かす手でしょう?

発ぜる木々の音を聴き、サメラは自分の手を見つめていた。

「……」
「サメラ。」
「…ん、どうした?ローザ」
「どうした?。じゃないわ、何度呼びかけても返事なんかしなかったのに。」

すまない。ローザの声に、俯いて手を落とした。この手は、あんまり見せれないな。と考えてそっと隠した。

「サメラ?痛いの?」
「痛くはない。」
「じゃあ痺れ?」
「痛くも痒くも麻痺もしてない。ただ…」

この手が、汚れてる気がして。言葉を濁して、手を力一杯に握る。力一杯に握る所為か、血が滴る。

「サメラの手は汚れてなんかないわ」
「いや汚れている。」

人を殺めすぎた手だ。人の血肉を人の血で洗った手だ。

「なら私も手を汚しているわね。」
「…そんなことはない。ローザの手は人を生かす手だ。」
「じゃあ、サメラの手も人を生かす手よ。白魔法は、人を癒すわ。でも、人を殺める呪文も存在するの、知ってるでしょう?」
「ホーリーだろうが。」
「そうよ、私の手も、生かす手であり殺す手であるの薬師のサメラの手も、殺す手であり人を生かす手でしょう?」

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