中身返せよ。
「あ。」
ふと鎧や大刀の事を思い出して、力む。ピリとした痛みが走った。包丁が指に刺さったみたいで血が指を伝い落ちた。
「ルドルフ、お前血がっ!」
「…龍騎士、お前、バブイルの巨人の中で鎧と大刀を見なかったか?。」
「あぁ、これな。」
そういえば。はい。と言う軽い口調のカインと、慌てるサメラ。それから、違う意味で慌てるセシル。
「龍騎士、お前…「カインだ。」カイン。」
ありがとう。手にのる重さを感じながら、サメラは俯いてそう呟いた。
鎧の中には、いつものくたびれた紙がいた。
「サメラ、その傷。いつまで放置するつもり?」
「傷?。」
鎧を上に持ち上げて、自分の手を見ると、赤く血に染まる手が見えた。まだ尚、血が滴り落ちていく。
「あ、ちよ。…ポーション!」
鎧の中にある袋を探し出してて、遠慮なく手を突っ込むと、カサリ。と音がして幾つかは自分の手に刺さる。そろりと適当に一つ掴んで持ち上げると一枚の紙が現れた。
自分でその紙を確認すると、自分が映っていた。
「バルバシリア……」
中身返せよ。
バルバシリアが残したサメラの隠し撮りを見てため息をついた。
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