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思い出がある。

黒が消えた。彼らは月に向かって行ったのだ。…兄弟が、こういう形で争ってこういう形で自覚するのは良かったのだろうか。
ひとりで考えていると、地が揺れた。床に罅が入り、足場が崩れるのを察してセシルを突いてから跳んだ。

「や、やべーぜ!」
「逃げないと!」

慌てる中で、ふと思い出した。愛用の鎧それから大刀がこの中にある。あの中には、大事な思い出がある。慌てて踵を返す。

「サメラ!」
「…………」
「何してんだ!」
「ここに大事なモノがある。取りにいかないと。」

パタパタと出口に走ると、ドアが開いた。蒼がいて、心臓が跳ねた。
メタリックブルーの蒼が、綺麗で、頭の中が空になって、息をするのを忘れた。

「こっちだ!」
「カイン!」
「その手にゃ、乗んねーぜ!」
「話しは後だ!死にたいのか!」
「早く!」

ぐい。と手を掴まれて、引っ張られる。鎧の中に隠した思い出が、段々遠くになる。

幼いリディアの描いた絵、パロムとポロムの描いた昔の絵。刻み込んだ自分の罪があれに、残されているのに…。

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あきゅろす。
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