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空のにおいがした。
「どこへ!?行こうとするんだ。」
「この戦い私自身が決着をつけるッ!!」
「待て! ゼムスも月の民!私もともに行こう……!」

カツカツと靴音が響く。出口の数歩手間でゴルベーザが立ち止まり、振り返って一言を放つ。

「さらばだ、セシル、武神事変-Satellit Reacter-。……」
「サメラだ。」

多分、あの鎧の下は目を細めて酷く穏やかな顔をしているような気がした。…なんとなく、そう思えた。

「いーのかよセシル?」
「ゴルベーザ…あの人死ぬつもりよ…」
「……」
「お兄さんなんでしょ?」
「兄さん…」
「そうよ!」
「……」

視線をゴルベーザから少し横に反らして、誰の目も合わさないようにした。黒に金の細工を施した甲冑がゆれた。

「すまない、武装事変-Satellit Reacter-」

同じ視線の高さにかがんだゴルベーザは、黒の篭手のまま頭をなでた。大きくて、暖かくてきれいで澄んだ空のにおいがした。


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