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握っていた手を放す。


「お主はゼムスのテレパシーで利用されていたのだ…クルーヤの月の民の血がよりそれを増幅していたのだ…兄弟で戦うなど…!」
「じーさん!」
「僕は…兄を、憎み…戦って…」
「セシル、それは私も一緒だ。」

視線を落として、握っていた手を放す。
インシデントソルジャーを小さく畳んで、袋の中に押し込む。
家族といるのが一番の幸せで、逆に家族を討つのは最大の不幸と考えているサメラにとっては良かったのかもしれない。それはそれで良かった事だ。

「お前が、私の…」
「でも…もしかしたら逆の立場かも知れなかったんだ…僕がもしかしたら、サメラがゼムスのテレパシーを受けていれば…」
「……しかし、それが私に届いたということは…少なからず私が悪しき心を持っていたから…私はお前を捨てた。」

サメラ。ルドルフ。
声をき…け、。


「!!」

名前を呼ばれたが気がして振り返れども、そこには誰もいない。
静かにクリスタルの床が光を放つだけだった。……気のせいか。結末をつけてサメラは視線を逸らした。



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