射抜く白い光の矢
先に行った仲間がそこにいて、名前を呼んだ。遠くから見ても、赤が鮮明に映る。あれは、彼女の血なのか、はたまた別の血なのか。考える最中に衝撃が走った。
彼女を射抜く白い光の矢。目に映る印象が強かった。強すぎて、目の前で動く事実が、嘘のように思えた。
「サメラ。」
光が射抜いて消えた。綺麗に心臓を射抜いて、鎧に不釣り合いな赤が宙に舞って、サメラが倒れた。
「サメラ!」
バタバタとサメラの横に駆け寄るとすぐにローザが回復魔法の冒頭を口ずさむ。
「なんだ、アレ!?デケェ!」
エッジの声に釣られて、セシルの視線が動いた。漂う三つの黒が、強烈な印象を与えた。
「あれがバブイルの心臓じゃ。」
「あれを叩けば…止まる。」
「さよう、あれさえ止めれば。制御システム本体よりまず防衛システムを叩かねば回復されてしまうぞ!」
一番大きな玉を中心に、残りが周りを回る。どれがどのシステムかなんて解らないが、なんとなくの予測はついた。
「ローザ、サメラを頼む」
「えぇ、勿論!」
白い光が飛ぶ中で、セシルは目的のモノをキッと睨んだ。
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