誰にも譲れない真っ直ぐな意志。
「カイナッツォ!」
スカルミリョーネがサメラから視線を逸らした。この隙を見逃さず、サメラは軸を蹴ってスカルミリョーネの方に駆けた。
「火燕流。」
刹那、視界の隅に映る赤に反応して、上に逃げる。赤の竜巻は真っ直ぐ向かいのバルバシリアに向かう。それを交わす事が出来ずバルバシリアに直撃する。
「…神々の怒り!」
空から稲光が跳んだ。壁に当たって跳躍する。そして狙いは裏替えって動けないカイナッツォに当たる。
「……お前ら、個々のほうが強かったかもな。」
はたから見たら同討ち、仲間討ちしかしてない気がする。密かに呟いて、荷物袋を確かめた。…ポーションがない。魔法を使うにも疲れて出せない。
「…みんなで逝けたらいいのにな。」
敵は打つ。必ず討つ、それは、堅く決めた事。誰にも譲れない真っ直ぐな意志。インシデントソルジャー、馬鹿な持ち主を嘲笑っておくれ。小さく笑って、空気を吸った。
「さ、終わりにしよう。」
地を踏んでサメラは、縫うように駆け出した。緩やかに銀糸が舞った。
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