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「…したら返す。三倍で。」
「……ん。」

ゆるやかに瞼を開く。目の前の金に心臓が跳ねた。一見ですぐにわかる。…違う、また違う金だと。心のどこかで、ガッカリして、上体を起こす。

「サメラ?」
「セシル…いたたた。」
「大丈夫?」

ズキズキと頭は痛むが、その他はない。その痛みの原因も分かっているが、今はどうでもいい。

「大丈夫。」
「大丈夫そうに見えないけど。」
「痛いだけだ。日にち薬だ。」
「エッジが、何かされるんじゃないかって心配してたよ。サメラの事だから。」
「…したら返す。三倍で。」

こともなげに、返すサメラにセシルは小さな恐怖を覚えた。「起きてから返すからな。」と、寝ているエッジに念を押す。

「サメラ。」
「どうした、セシル。」
「腕、痛くなくなった?。」
「あぁ、痛くはない」
「痛くは?じゃあ何、痒いの?痺れるの?」
「痒くもないし痺れもない。なにもない。」

傷もなにもない。がさっと、アンダーシャツを脇まで捲り上げる。傷も変色もない、ただあるのは、今までに勲章のような刀傷ばかりがある。上から上から切られて、瘡蓋の上に瘡蓋が出来上がっているような、見るに耐えない生々しい傷跡。

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あきゅろす。
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