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「夜って、こんなにも長かったっけ」

腹ごなしも済んで、各々は寝る支度や腹休めをしている中、エッジは一人鍛錬をしていた。

「行くぜぇ」と模擬刀を振るっていると、勢い余ってサメラの脳天に叩きつけてしまう。視界に星が散る中、サメラは崩れ落ちた。

「……エッジ、サメラになんてことすんのよ」
「わりぃ、勢い余って…!」

模擬刀を放り投げて、サメラの元に駆け寄る。…ただ、サメラが目覚めた後に、何が起きるか予想できたみたいで、エッジが真っ青になった。

絶対に締められる(ような気がする)。そう思うとエッジがうなだれた。

「ローザ、ケアルかけてー。」
「何かあったの?」
「エッジがねー。」

慌てるエッジとは、時間の流れすら緩やかに見えるリディアとローザのやり取りを見て、唯一の傍観者セシルがサメラを混乱の中から引っ張り出した。

「ほら、火の番はしとくから、お休み」

発ぜる木を囲み、サメラに一枚掛ける。ガヤガヤと賑やかだった時とは打って変わって、発ぜる音しか聞こえない静寂。

「夜って、こんなにも長かったっけ」

自分の声が遠くに響く、ただ虚しさが突いた。サメラ持参の薪を火の中に放り込んだ。

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あきゅろす。
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