風のように、猫のように。
「とりあえず行くが。セシルはどうする?」
話題を振れば、セシルは悩んで考えている。横目で見ながら、視線を前に動かした。音がする。不思議な音と共にやってくるのは、四体のプリン体。
「セシル、帰るのも中止だ。武器はあるか?」
「へ?有るけど、サメラ?」
「魔物がいる。…じゃあ、自分の身だけを守れ。」
逃げたりしたら、どうなっても知らないからな。一言忠告をして、軽い大刀を持って、上から下に振り下ろす。
そして、それは軽い音を立てて、舞った。
風のように、猫のように。
しなやかに、地面を蹴った。
手近な一体を切って、空に舞わす。浮いたのを確認模せず、上から下に振り下ろす。嫌な音と共に紫色のプリン体が二つに割れた。ぼたり、と落ちたのを視野で確認して、次のプリン体にかかる。大刀を地に刺して、軸に仕立てて、そこを中心に円を描きながら飛ぶ。
一周する手前で、噛みつかんとするプリン体に、一蹴り。勢い良く、プリン体が飛んで、砂礫に突っ込んだ。
「セシル、そっちに一体行った!」
「え?」
視界の中で、紫色が急激に大きくなった。目の前で、ぎゃしゃー。と鳴くプリン体が牙を見せた。
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