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嫌いにならないでください。

インシデントソルジャー。
小刀の形をする武器。
三番目の奇術師-Maniac Replica-の武器屋のドンダーさんからの貰いもの。
不思議な性質を持つ、私だけの武器。今は鞄の底に眠らせて、微かに輪郭だけが浮く。

「サメラ。」
「どうした、セシル。」

砂礫の大地に、静かな青が視界の中で、笑った。

「悩んでるんじゃないのかな。って思って」
「悩んでなんか、ない」
「嘘でしょ」
「嘘じゃない」

こうやって、二人になるっきが怖かった。何を言われるのか、怖かった。

「……怖かったんだ。セシルと姉弟だと知って。言うのが。」

一つ漏らせば、尽きる事なくせき止める事なく零れて吐露。尽きて候。

「知ってたの?見て嘲笑ったの?。なんて言われたら最後、私は生きては活けない。」

希望の星が砕けるから。希望が潰えるから聞けない。その一言が、聞こえるのが怖くて、ずっと黙ってた。

「ごめん。」

全てを話すから、嫌いにならないでください。お願いだから弟よ、嫌いにならないで。

「嘘つきだね、サメラは。」

優しく撫ぜる暖かな掌が、抱き寄せた。暖かな思い出にサメラはひっそり涙をこぼして、鎧を伝う。

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