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船は静かに波をすべる。

船は静かに波を滑り。
バロンに向かう。

サメラは、船の縁に掴まれて、水面を眺めて、悪態をついた。……完全なる船酔いだ。ぐたー。となるサメラをリディアが、不安そうに隣に居る。

ポーションとか飲めば治るかと思ったが、あれは外傷用だ、船酔いに効果が現れるはずない、と思い、視線を再び落とし、セシル達の会話を聞いていた。

「セシル殿、バロンに着いたらどうされるおつもりで?」
「まず、飛空艇技師のシドに会おう。彼ならば力になってくれるはずだ。」
「だが、バロンは、今や敵の本陣。そのごじんもご無事だとよいのだが。」

水面を見つめていると、白い何かが通った。…魚か。と、践んだ。瞬間、船が揺れた。……これ以上揺れないでくれ!とサメラは思ったが、それは船が受ける波である以上どうしようもない。と仕方ないが、諦めきれなかった。
セシルの声が聞こえたなと思えば、波渋きが遠くで立つのが見えた。…船乗り達が、驚愕した声で、その正体の名前を出した。大海原の主、リヴァイアサン。

そのせいか、波が荒れだして、波が襲う。その波に飲み込まれて、冷たい海に飛込んだ、誰かの声が遠くで聞こえた気がした。



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