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音もない世界に、舞い降りたソレ。

「きっとあれだ」

最後の洞窟を抜けて、小さな建物が見えた。クリスタルが地から天に向かって伸びる、小さな館。
足を踏み込んで、中を窺うとガラスのように向こうを通す程澄んだクリスタルが並び威圧感を与えた。音もない世界に、舞い降りたソレはひどく懐かしい声。

「よくぞ参られた!」
「あなたは…?」
「私は月の民の眠りを護るフースーヤ…」

思い出そうとすると頭がツキリと痛む。いつ聞いたか解らない。思い出せないのが、焦れったい。

「さよう。もう遙か昔の事だ…火星と木星の間にあった星が絶滅の危機に瀕した。生き残ったもの達は船で青き星へ」
「青き星。とは私たちが暮らす星のことか?」

問いかけてみれば、そうじゃ。と答える。

「しかしまだ進化の途中にあったためその者達はもう一つの月を作り出しそこで長い眠りについたのだ…」

昔を思い出すように、フースーヤは語る。

「しかしある者は眠りを嫌った!青き星に存在する者全てを焼き払い、そこに自分たちが住めば良いと考えた。」

隣にいたリディアが、ヒドい。と息を飲む音が聞こえた。なにもない空間に音が消えた。ただ降る沈黙の中で、フースーヤは口を開いた。

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あきゅろす。
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