「お前が一番崩しそうだからだ」
地を踏むと、乾いた音が鼓膜を鳴らした。
視界の先には、なにもない。ただ、砂の地平線が延々と見える。
何もない寂しい道の先。
そんな中で本能が、一言訴える声を上げた。
「「懐かしい。」」
綺麗にユニゾンする。音に気づいて、視線を動かすと、もう一人の主はセシルだと理解した。
「……なんだか、魂が高ぶるんだ。」
「そうだな」
確実に頷いて、肯定を示す。何がどうかは解らない、でも。
魂が
本能が
五感全てが
そう訴えている。
「とりあえず行こう。」
いくつかの洞窟の先に、目的の場所があるみたいだ。重装備を背負い直して、鉄を鳴らす。どこまでも遠い先が見える。
「なにが出るか解らない。気をつけろ」
大刀を握りしめて、必要なものは必要以上にある。大丈夫だと、自らに言い聞かせ冷えた空気を胸一杯に吸った。
「万全な体制を取れよ、エドワード」
「引き合いに俺を出すなルドルフ。」
「お前が一番崩しそうだからだ。」
「そんな…!」
俺、ショック!なアピールをされてもサメラは感心を示さず、歩いた。
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