「じゃあ行こうか。」
「サメラ。サメラってば。」
空から降る声に、モノトーンのグラデーションが歪む。
そこで、夢が終わった。
「サメラってば、起きて。もう着いたわ。」
「つ、いた?」
開いた世界は、有彩色。
目線の先には、ローザ。
あれは、夢。だったのか。ひどく安心感を得た。
「魘されてたけど。悪い夢、見たの?」
「昔の夢を見た。平気だ。」
過去は過去。
今は今。
きちんと割り振らないから、見た夢。
懐かしくて怖い過去の夢。
「さ、行くか。」
「結構長いこと寝てたわね。」
「何日ぐらい?」
「1日だけど、よく寝てたわよサメラ。」
他愛のない会話を連ねながら、操舵室に向かっていくと各々の準備が済んで、もう旅立つ直前だ。
「……ちょっと待ってくれ。すぐに支度をする」
鎧などの装甲を外さないように頭を通す。部屋の隅に置かれた荷物を引っ掛けて、準備は全て終わる。最後に新調した、調理用のフライパンや鍋を引っ掛けておしまい。
「さぁ、準備は出来た。」
「じゃあ行こうか。」
「うん」
[*前へ]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!