むかしのゆめ
ゆめをみた。
むかしのゆめ
有彩色の中の町色。
極彩の中でも、私の視界は灰色だった。
その中で、私は何を考えていたのだろうか。
嫌われて過ごした幼少の時代。
生きるのも苦痛だったあの頃。
始まりの籠の中でいくらほど。
御伽噺のありきたりな終焉を。
どれだけ祈っていただろうか。
終わりの見えない悪夢の中で。
いつ終わるのか解らない最中。
幾度もなく終わりを夢見た。
終わらなかった、終われなかった夢の果ての炎の中に包まれる。
それはまるで、他人事のような感覚だった。
有彩色の町の中、人が居なくなっても。
視界は相変わらずのグレー。
その地に立って、まだ夢が醒めないのかと思った。
足元にある塊が、声を上げた気がした。
全てがいやな訳ではない。
幸せと感じる事があった。……ような気がする。幼い記憶は薄れて、何も解らない。
罵詈雑言を浴びせられた。
だからどうした。
ただの記憶。
ただの戯言。
ただの…何。
ぐにゃり。と歪む世界は、無彩色。
モノトーンのグラデーションが、世界を染め上げた。
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