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「月。」

「月。」

生ある月。
生ない月。

どちらにしても月は月。
変わりはない月だ。

月にいく。
聞いた刹那、懐かしい思いが脳裏をよぎる。あれは何だったのだろう。と懐古感を否めないまま、サメラは窓から空をみた。答えは出ず、心のどこかに穴が空いた気がした。

生ある月に向かう船の中を見回す。寝る場所と、移動ブリッジ、それから厨房と機械のチョコボが一匹、十分すぎる施設が揃った船だとサメラは感心を示した。

「ルドルフ。相手してくれ。」
「…却下。」
「どうしてだよぅ。」
「面倒だ。」

しばらくまともに寝てなかったのでな、一回寝る。…飯は勝手に作れ。起きてから相手をしてやる。覚悟しとけ。

問題を丸投げして、意識を沈める事に勤めた。倦怠感の中で、静かにサメラは意識を放り出した。

「サメラ、寝ちゃったの?」

ブリッジ側から顔をだしたリディアが伺う。

「しばらく寝てなかったんだとよ。」
「長老から聞いたんだけど、サメラずっと祈りの塔に居たんだって。ミシディアに逃げて来てから、ずっと。」

私達が無事に帰ってくるように。と祈ってたんだ。いつもありがとうサメラ。

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