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おやすみ、セシル。

「すまないな。こんな、自分勝手で、これが事実なのかも解らない。夢のお告げだったのでな。」

弱々しく微笑んでから、サメラは自分の席を立ち上がって、カップを手荒に洗いあげる。
鉄製のカップだ、簡単に潰れないのを見越しての選択だ。

「……サメラ。」
「どうした、セシル。」

背中ごしの会話をして、サメラは平素を装う。
いつか考えた、事実を話す時にセシルに嫌われるのではないのか。ずっと黙ってたの?と、ただ心のどこかで恐れていた。

「……私は祈りの塔に入る。おやすみ、セシル。」

鉄製カップを隅っこに置いて、サメラは来たときとは違う方向の階段に向かう。

「サメラ。おやすみ。」
「いい夢、見ろよ。」

ふんわり笑って、サメラは扉を潜って行った。銀が見えなくなったのを見て、セシルは欠伸を漏らした。

寝ようか。小さく漏らして、眠るルームメイトの所に足を運ぶ。

「君の先生は、何を考えてるんだろうね」

苦笑を浮かべて、セシルは自分のベッドに潜って眠りの世界の扉を開けた。

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