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扉を閉めた。

妙に重たい武具を部屋に放り込んで、サメラは一息ついた。

「おやすみ、サメラ。」
「もう寝るのか?」
「うん。」
「おやすみリディア。」

一枚引っ掛けて、部屋の外に身を滑らせてから、扉を閉めた。小さく微かに蝶番の音を鳴らすとそれ以上は鳴らない、動かないのを確認して首を回す。首は乾いた音を立てて、背中も鳴る。

大きな伸びをしてから、さて、どうするか。と考えた。まともにこれほどの自由時間というものを貰ったのは、はじめてだ。

「何をしようか。」

漏らして、とりあえず自分の考えなければならない事を探しながら、屈み込んだ。

自分とセシルの間柄の話。
いつ切り出そうかと、ずっと迷っている。もしかすると、ただの夢なのかもしれないし、そう思うと、切り出すタイミングを失ってずるずる引き伸ばしている。

「何してるの?サメラ。」
「色々。」

話を切り出さなければならない、相手セシルが隣の部屋から現れた。

「じゃあ、下でお茶しない?」
「あぁ。行こうか。」

石造りの床が、夜の寒さに輪をかけて冷たさが身にしみる。一枚引っ掛けて来て良かった。と思った。

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あきゅろす。
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