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心のどこかで軋む音がして、


「セシル!」

急いで階段を下りて、クリスタルルームを通り、館に入り込むと同時に声を上げた。

「サメラ、無事だったのね!」
「良かった。怪我は?」
「…………。」

何か、違う。いつもとは何かが違う。
違和感が、堪らなく痛くて怖い。
全員に視線を向ける。あぁ、そうか。

「サメラ?どうかしたの?」
「なぁ、ローザ。」
「また、腕が痛いの?」

ローザの答えに、緩やかに首を振って、再度確認する。やはり、視線の先に青がい。

「…龍騎士。カインは、どこに、行った?外か?」

フラフラした足取りで館の外に向かう。だけども、そこには居ない。澄んだ綺麗な青はない。

「サメラ。あのね、カインは。ゴルベーザの」
「…そうか。」

最初に居ない。と分かった時に、なんとなく予想はついていた。諦めたくなかった、諦めきれなかった。

「カイン。」

漏らした名前が、食い込みそうな程に胸を締め付ける。

これが、愛だの恋だの言う前に、心のどこかで軋む音がして、ポロリと、涙が零れた。

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