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いつかこうなる宿命とわかっていた。

髪紐が切れそうだな。
長々使っていた月色の髪紐はいつも、纏める際に大助かりする、万能アイテム。
使いすぎて、古くなって、修繕しても、いつかこうなる宿命とわかっていた。

また、新しいの探さないとならないな。
ため息交じりに髪紐で結い上げる。

なんとなく胸騒ぎがする。空は晴れて青々しく、朝方と言うこともあり、空の両端に太陽て月が見える。
清々しい空と裏腹にサメラの気分は沈んだままだった。

「始まりの町、終わる旅団。始まる度に終わる旅。」

終わらない旅を終わらせる事はたやすい。
終わらる旅を終わらない先は猛く険しい。
諦めれば容易い。
諦めないのは難しい。

二つの月と一つの太陽。
きっとそれは、終わらない。

「セシル」

血肉を分け合った、唯一無二の片割れ。
死にたまふ事なかれ。月に向かって祈る。
窓から風が通り抜けて、はらりと髪紐が切れて、銀髪が靡く。

「ほんとうに、大丈夫なのか」

拭えぬ不安に同様しながら、サメラは祈りの塔に入り込んだ。

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あきゅろす。
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