地を駆け出した。
地上に着いたのは、視界が黒になる直前、胸の中の新鮮な空気が届くと共に意識がハッキリとしてきた。
「ぐはっ。」
ヨタヨタと立ち上がって、一息つく。異常な音を鳴らす喉が痛みを訴えかけてくるのが、わかった。
「武神事変-Satellit Reacter-大丈夫!?誰よ、私の武神事変-Satellit Reacter-に手を出したの!」
お前だ、バルバシリア。カイナッツオが放てばバルバシリアは竜巻を起こして亀をひっくり返した。哀れな視線を送りながら、サメラは息を整えた。
場所に来た。躊躇う隙はない。与えたら最後、おしまいだ。
これが最後のチャンス。
息を整えて、高鳴る胸を落ち着かせる。吸って、吐いて、吐いて、吐いて、は……。いや、吸えよ。自分の行動に静かに突っ込む。
あくまでも、苦しい様子を作って、バルバシリアに殺されかけましたをアピール。
…よし、服装は(バルバシリアに脱がされて以来)身軽。甲冑がないのは、いささか不安だが仕方ない。バルバシリアは亀で…カイナッツオで遊んでる。カイナッツオはカイナッツオでひっくり返されて起き上がる様子は無い。様子を確認して口角を緩める。
それから大きく息を吸って、地を駆け出した。
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