「じゃあな。」
「あぁ。そうする。」
悪かった。武神事変-Satellit Reacter-にも、よろしく言ってくれ。一言だけ、言葉を放ち、セシル達に背を向けた。
「じゃあな。」
ゆるく手を振って、マラコーダは光の先に消えて行った。
「行っちゃったね。」
「案外、優しい人なのかもね。」
「じゃあ、僕らも行こうか。」
この奥に。
先に視線を向けて、セシルは小さく頷いた。
「一番乗りでぃ!」
「あ、エッジ!……もうっ」
リディアが、呆れるようにため息を一つ。
「サメラ、元気かしら。」
「大丈夫だよサメラだからね。」
各々の思いを胸に秘めながら、一向の歩は進む。
その中で音がした。強くカインを呼ぶ声が、ハッキリ聞こえた気がして、振り向く。そこには、誰もいない。静かな闇。が一つ。
「カイン、置いてくよ。」
……あの呼び声は、よく覚えている。薬師、サメラ・ルドルフの逃げろ。と言ったあの呼び声だ。
闇を一睨みしてから、「今行く。」とだけ、カインは簡素に答えて最後尾を歩き出した。
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