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「敵は身近にいる。」

「敵は身近にいる。」

どこかかから、そうサメラの声が聞こえたような気がした。もしかすると、昔に言ってたのを思い出したのかも知れないが。振り返って見ると二番目を歩くエッジが

「セシル、どうしたんだ?」
「サメラの声が聞こえた気がしたんだ。」

気のせいか。
割り切って、セシルは前を見据えた。
そこに小さな銀がいて、心臓が跳ねた。

「サメラ!」

慌てて駆け寄ると、銀が静かにうごめいて、ゆっくり青が開いた。

「セシル…?」
「こんなとこまで、どうやって!?」
「死に物狂い。」

きっぱり、言い放つその姿は、いつもと同じで、いつもと違った違和感がセシルの中のどこかに残る。

「鎧も、大刀もなにもかも、捨てた気分で逃げてきた。」

今回は、まともな戦力になれそうにない。小さく瞳を伏せて、サメラは下唇を噛んだ。

「また、帰ったら揃えよう、ね。」
「あぁ。そうだな、リディア。」

…なんだか、おかしい気がする。気のせいか、見間違いか。変な違和感を覚えたが、この旅に関して、付き合いの長い仲間。見間違うはずがない。
そう思って、セシルは気にしないことにした。

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あきゅろす。
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