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煙の元。

煙の元は、焼けた町。町、と言うよりも、集落と言った方がいいのかもしれない。
簡素な作りの、家と。町の真ん中にある井戸。恐らくこれが、中心なんだろうか。

「……っ!!。」

人の焼ける匂いが、一瞬の躊躇いをもたらす。
パチパチとはぜる木と、メラメラと燃える熱狂が、それ以上踏み入っていけない様な雰囲気が、何とも言えない領域を表している。

「生きてるのか……誰か」
「……解らない。」

困惑気味なギルバートが視線だけを動かして、異変がないか見てみる。あたりを見ても、何も解らない。そんな中ローザが真っ直ぐ、そこを指で指す。

「あそこ。」

ざくざく、と土を踏む音が、耳に聞こえた。瓦礫の向こう側に、チラチラと舞う銀が見えた。

「人が…いる。」
「行こう。」

甲冑が鳴るのも気にせずに、セシルは走り出した。


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