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優しさの塊。私の片割れ。

「それから、その服どうにかならんのか。」
「…無理だな。」

手持ちも武器も何もかも奪われた。変えも予備もない。それだけ放つとサメラはため息をつく。
カインがサメラを上から下まで見た。
どうにかしろ。と言うのは、白い肌に絶えない生傷の跡を指しているのか、はたまた別の事を示唆しているのかサメラには分かりかねる。

短いやりとりを終えて、一行は奥に進む。
武器を持たないサメラは、今回も最後尾に位置付いて、眺めた。

白と翠、それから白銀と金、そして青。
特攻、援護、隊長、回復、補助。統率の取れた部隊。

彼等は、これから先、どこに行くのだろうか。私はこの中にいていいのだろうか。

小さく問いかけてみたが、誰の耳にも届かずに消えた。静寂の中で、クリスタルルームの扉が開かれた。

「セシル。」
「どうかした?サメラ」

ふんわりと笑う姿は、優しさの塊。私の片割れ。

「セシル、……いや、なんでもない」

今はそれどころじゃなかったな。静かに瞳を伏せて、そう舌の音に乗せた。

「奴らが来る前に、早く用件を済まそう。」
「奴らって?」

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