此は幻。其は夢。
いつも、こういう戦闘には決まって必ずサメラがいた。
決まって戦陣に立ち。
決まって最前線。
そこで大刀を振り回し。
そこで戦っていた。
攻撃も一撃で乃で、パーティの盾であり鉾。
「行くぞ、セシル」
「うん。」
いつも、何も言わずに僕の行動を理解してくれるサメラがいた。
「……大丈夫かな。」
「どうかしたのか……」
月みたいに、静かで。
なんにも言わない彼女。
……ブリザガ!
「セシル!」
「へ?」
空から降る大きな氷塊が、空から頭上目がけて落ちてきた。とっさの事で反応が出来なくて立ちすくむ。
「セシル…!」
幻聴まで聞こえてきたみたいで、サメラの声が聞こえる。
此は幻。
其は夢。
聞き手から剣が落ちて、キンと高い音が鳴る。予想が出来た。だけども、予想した音が来なく、小さな氷が降ってくる。
見慣れた銀。
僕と違う銀。
暖かく優しい銀。
強くて頼れる僕らの仲間。
「サメラ……?」
「全てはコイツを倒してからだ。」
初めて会った時のような、声色。
今でも忘れられない銀は、相変わらず優しいままだ。
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