風を読んで、音を聞く。
鉄橋を叩き鳴らして走る。いつもと違う重さを感じない服をはためかして、風を読んで音を聞いた。
風は下から流れて、音は上から聞こえる。視界を上に上げると、炎が見えた。
「誰かが、戦ってるのか…」
目を凝らして、炎を睨む。陽炎から、幻獣が見えた。
「召喚師………リディアか。」
侵入者を思い出してのその結論に行き着いた。間違いない、そう確信を持って、サメラは進路変更を決めた。
「……待ってろよ!。今から行く!」
武器は無くても戦える。二つの腕が有れば戦える。魔法もある。
私は戦える…!
「軽業師をナメるな…これぐらいの壁なら容易く行ける。」
壁を蹴り、空を跳ぶように上昇していく。一蹴り二蹴りで炎が舞った場所に到着する、炎の中で、誰にも気付かれてない。
悪戯を思いついた子どものように、唇がつりあがる。
言うなれば奇襲。
やるなればブリザガ。
気配を断つようにして、サメラが口の中で呪文を唱え始める。
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