侵入者!
両端から聞こえる音に気がついて、サメラは隠し通路の中に入った。
「居た?」
「こっちには居なかった」
「じ、じゃああっちね!」
目の前のやり取りに胸をなで下ろしてから隠し通路から出た。
「……巻いたか。」
辺りを確認して、ため息を一つ。先ほどの階から、一つ。
ここでサメラは行き詰まっていた。どうしても先が見つからなく、先程から右往左往していたのだ。
「とりあえず、穴でもいいから。」
滴る汗を拭って、聴覚を澄ませる。定期的な機械音が音を狭めるが、足音は聞こえない。
行こう。心に決めて、走り出した。瞬間、視界が赤に染まり、つんざく音が聞こえた。
……侵入者、侵入者!相手はセシル・ハーヴィ一向!並びに、武神事変-Satellit Reacter-が逃走中、繰り返す……
「……あいつら!」
一言放って、サメラはまたため息をついた。
今日はため息ばかりの日だな。と感想を持ったが、不満を漏らしても現状がよくなるわけでもない。それ以上口を開くことはない
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