大空飛ぶ夢の船。
響き渡る機械音に意識が飛んだ。エブラーナに向かう大空飛ぶ夢の船の最後尾に立ってローザはぼんやりと空を眺めた。
「……ローザ。」
優しい声が聞こえた気がして振り返ったが、そこには誰もいない空が見えた。
「…気のせい?」
あの声は知っている。優しくて強いけれども細く儚い心を持つ仲間の声。三日前に、離れ離れになってしまった白銀。
強い青、しっかりした意志を含んだ青。
「サメラ。」
小さく名前を呼んでもあの声は聞こえない。機械の音にかき消される。
「どうかした?」
似た青と白銀が、目に入る。優しい白銀。でもサメラと違った白銀。そして、穏やかな海を彷彿させるような瞳。
守る為の刃を持った、白銀。
守りたい為の力を持つ青。
似た二人。けれども、似てない双人。
「サメラの声が聞こえた気がして…。」
「サメラなら、大丈夫だよ。」
無事に生きてるよ。
その声は、ひどく穏やかで優しい。
「無事に生きろ……!」
空耳のような感覚で、またその声が聞こえる。さっきと違う、痛切に願う声だったような気がした。
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