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傷が裂けて血が滴る。

「…と」

背後に屍。杖は二つに折れた。牙を向いた魔物は一匹残らず返り討ちにした。
追いかけるだけだ。

……サメラ殿……

「……ヤンか?」

顔を上げた刹那の轟音。脳裏に一つ思い浮かんだ最悪なイメージ。耳の奥で、聞こえた声と轟音。

「…っぁ。」

胸の中を駆け巡る痛みが、増した。危険を感じてか、これから先を予想してか。歩くペースを早めた。傷が裂けて血が滴る。荷物袋から血止めの薬を探す為に、腰を一旦下ろした。

三番目の奇術師-Maniac Replica-
双子の片割れ。
街。
パロムとポロム。
それから

「セオドール」

復讐は身を滅ぼすとミシディアの長が言ってたな。と思い出して、小さく笑う。復讐を決めてこの様が。テラの後を追うかもしれないなと密かに感じた。

「……何をしてるのかな、武神事変-Satellit Reacter-」
「……!!」

突然不意に掛かった声に、驚いて戦闘体制に入る。

「マラコーダ……」
「また、独りですか?」
「ほっとけ。」
「無理ですね、ゴルベーザから命令が下ってるので、すみませんね。」

ニッコリと笑った、マラコーダが愛用の武器だろうと思える棒を取り出した。

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