生きてるのか。
「あ、…」
ぱたりと足を止めて、行く先をサメラが見つめた。後ろから音が止んで不思議に思ったのか、視線がサメラにあつまった。
「どうかしたの?」
「あの先に…」
指差した先に、白衣を着た男と赤の人間が伺える。
「ルビカンテとルゲイエだな。」
「……マラコーダは居ないみたいだな。」
遠くから、コソコソと動きながら、話に耳を傾ける。
「ルビカンテ様、お気をつけて。」
「案ずるな、忍術とやらを使うエブラーナの城は、既に落ちた」
その一言を聞いて目を見開いた。エブラーナは他の国と負けず劣らず勢力を持つ国だ。…以前訪れた時も強く明るい国であった。………体中の血液が煮える感覚が襲う。……そう言えば、エブラーナで出会った軟派な奴、生きてるのか。
「あいつ……」
「サメラ、落ち着いて」
「分かっている」
握り拳を解いて、サメラは息を吸った。
「留守は預けたぞ」
それだけを言い残して、赤の人間、推測火のルビカンテが消えていった。乗り込むか?と問えば、龍騎士からの視線がグサグサ刺さる。……痛いな。
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