……異臭がした。
「この奥が休憩場だ」
重たげな扉を力で無理やり押し開けると……異臭がした。なんと言うか、きな臭いような、焦げたような。形容し難い匂いだ。
「あいつら…」
出来ないのに料理なんかしやがって。隣で、そう漏らす声がした。確かにセシルが料理をした時は地獄だった。外は焦げて、中は生。スープは味がしない湯。次の日はギルバートかヤンがお腹を壊していた。…ような気がする。
それ以来、城に居る以外は全てサメラが料理をして来た。……ちなみに私が居なかった頃、セシルと龍騎士が二人旅旅の話は粗方聞いているが、その頃は龍騎士がしていたそうだ。
「あ、サメラにカイン。探したんだよ」
奥から明るい緑が顔を出した。ニッコリ笑って、目の前に来て一層ニッコリ。
「本当、大変だったんだよー。」
「すまない、前を見たら居なくなってた」
「今度から気をつける」
「良かった!このままだと、セシルのアレぽかったから、助かったー」
胸を撫で下ろすリディアを見て視線を鍋に持っていった。血抜きも出来ていない獣の肉が鍋に放り込まれていたのを見てサメラは苦々しく笑った。
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