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「あ…う………。ぱらでぃーん」

息苦しさを覚え、吐き気が襲ってきた。

「…!」

ついに耐えかねて、サメラが足を止めた。必然的にサメラの背後にいたカインが足を止める訳で、顔を覗きこんだ。

「がはっ……」

濁った赤が床を染めた。赤がサメラの輪郭を沿って滴り落ちる。

「大丈夫か!?」
「…平気だ」
「これだけ血を吐いて、そんなの信じるか。」

前々から、腕の痛みとかを黙っているくせに、信じるか。この馬鹿が。

「……この先に、休憩場がある。そこに行こう。そろそろ上階部に来ているから、一旦休憩して、それから偵察しよう。」
「一旦落ち着くだけだ、偵察なんかするな。」
「今から塔を下っても、ドワーフと人間の体の作りは少し異なる。…ケアル」

とりあえず今は、肉体的な回復だけが治療だ。とだけ言えば、すかさずカインが言葉を入れた。

「普通の戦闘には参加するな。」
「…だが。」
「駄目だ、ローザとセシルに言うぞ」
「あ…う………。ぱらでぃーん」
「何か言ったか?」
「いや、魔法は使って……」
「それもダメだ。」

ふるふる首を振って、絶対戦闘に参加してやると、心に決めた。

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あきゅろす。
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