「で、どうして苗字になるんだ。」
「おい。サメラ。」
「…………。」
ぼんやりと考え事をして、とりあえず目の前について行くことにした。そんな適当をしながらサメラは歩いた。
考える事は色々だ。兄弟の件もそうだし、左腕もそうだ。視界の端で青が動く。それに従ってサメラも歩く。
しばらく、その声が掛かった。ギリギリ視界の端で動く人影についてきている。
「聞いてるのかサメラ。」
「…………へ?」
「あっちでいいのか。みんな行ってしまったが」
「あっち?」
龍騎士に示唆された先を見つめるがその先はただ道があるだけだ。
「……誰も居ないが。」
「見失ったな。」
「そう。…どうせ、道に迷い込んで、空の宝箱でも開けているんだろう。」
迷うぞと念押ししたのに。と漏らせば、そんな話は聞いてないとの一言、……言ってなかったか?
「後から追いかけてくるだろう。」
「おい」
「何か、龍騎士。」
「その龍騎士って呼ぶな。」
「………………ハイウィンド氏。」
「で、どうして苗字になるんだ。」
「…いつかな。」
すこし呆れを覚えたカインはため息をついて、サメラの隣を歩き始めた。
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