あ、駄目だ。地上の光は拝めない。あぁシド。今までありがとう。
手際よく調理を済ませて、みんなで輪になり食事を始める。
炒めものとスープ、それからドワーフの民から買ったものが並んだ。
「ごちそうさまでした。」
ガツガツと男らしい食事を済ませてからの一言だ。女らしさの欠片が見えない、なんてローザが零した。
ローザの小言に耳を貸さないのはいつものこと。
「片付けしてくる。」
右手に自分の皿を持ち、立ち上がる。まとめ上げた山から、小物が落ちた。やれやれと言わんばかりのため息をついて拾い上げると、左手に電撃が走り手が大きく跳ねた。
「サメラ、怪我してるの?」
謀殺されるぐらいに忙しかったから追求されずに済んでたのに…!。忘れていた恐怖が、瞬間に増倍する。
「そう言えばそんな問題あったわね。」
「時間はたっぷりあるし、」
この二人が揃ってニッコリわらう。あ、駄目だ。地上の光は拝めない。あぁシド。今までありがとう。
脳裏に走灯馬が走る。これで人生が終わるわけでないのだが。兎に角この二人の話は聞いていないと、先に進まないし、誰であろうとこの二人を止める事が出来ないのだ。
自分が大人しく聞くしかないと諦めの境地だ。
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