塵芥のない、綺麗に澄んだ青だ。
眠るには少しの時間。
たが、起きておくには長い時間。
そんな時間をどうする訳でもってなくサメラはただ瞳を閉じて、気配を探っていた。
二か三、大型の獣の声が聞こえる。
狩るべきか、狩らざるべきか。
少し悩んだが、何も考えたくない今だからこそ、体を動かす事に決めて、、瞳を開けた。きっと、視界には火か赤い海がみえるだろうと思ってたが、視界を占めたのはメタリックな青と綺麗な金だった。
「起きていたのか。」
話しかけても返事がないから寝ていると思った。間近の金を見るのは初めてだ。
冷たいようで、暖かな青を纏う人間。
セシルとは、また違う青だ。
セシルの青も龍騎士の青も。
塵芥のない、綺麗に澄んだ青だ。
そんな青にしばらく見とれたが、意識をハッキリとさせて、サメラが口を開く。
「……近くに獣がいる。狩ってくる。」
音もなく立ち上がり、軽い音と共に大刀を引き抜く。リディアが興味半分で大刀を持ち上げてみたが、持ち上がらない重さの大刀を、サメラは平然と片手で抜ききった。
「すぐに帰ってくる。」
これまた音なく、駆け出しだ。小さな風を従える程度で、誰も目を覚まさない。
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