この少年は、町の誰かと間違えているのだろうか。
不思議な場所。
不思議な空間。
不思議な音楽。
不思議な人達。
不思議な場所にサメラが浮かんだ。
たっているのか、なにをしているのか。
それさえも、わからない。
ただぼんやりと、虚空を見つめている。
「……どこ…」
何時間たったのかわからないが、声を出してない所為で、声が嗄れた。
前も経験したような、似た感覚が襲う。
静かすぎて、耳が音を探している。
風が凪いで、銀の髪を揺らした。
「………」
何をしていただろうか。
記憶を引きずり出しても、思い浮かばない。
「なにが。」
淡い記憶を呼び覚ませども、一向に見つからない。何があって、どうしてここにいるのだろうか。悩めども悩めども、答えが見つからない。
……サメラ。
優しい声が心に響く。あぁ、この声は知ってる。
「……だれだっけ?」
記憶の縁で、ゆらゆら揺れる思い出。
ふわり。と世界が揺れて、鮮やかな緑が視界に映えた。
そこに人。
茶色の髪の小さな男の子だ。
「……ねぇ。お姉さん」
「弟と妹が出来るんだ」
この少年は、町の誰かと間違えているのだろうか。
予想をつけながら、サメラはは考えた。
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