真夜中密談会。
しばらく泣いて、静かになった。ローザが声をかけるころには、小さく眠っていた。
「寝ちゃったみたい。」
「相当、泣いてたからね。」
「つらかったと思うの。」
辛い大人ばかりの世界で生きて。
外面ばかり気にする人ばかりで。
本心に触ろうとしない人ばかり。
息が詰まる居場所で生きてきた。
そんな苦しい場所で生きてきた。
心の叫びも消して答える筈なく。
心に深く蓋をして、漏らさない。
「私、サメラが泣いたの初めて見た。」
「一回見たな。」
ぽつり、と零す言葉に、カインがそう放った。一言で、視線が一瞬にして集まり注目される。
「いつ、どこで」
「ゾットの塔からバロンに着いた晩に。王の間の少し手前で」
「……あ。」
そうやってサメラ泣くのに、セシルは心あたりが有った。双子の魔導師が、ふと頭に浮かんだ。
「パロムとポロムだと思う」
リディアが居なくなってすぐに、起きた問題だったし、結構落ちてたと思う。
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