「頑張らないと。」
「サメラ、行こっ。」
「あぁ、リディア」
背中に軽い衝撃が走り、まえのめりになるが、体制を立て直し、サメラは踵を返した。
「…なぬ」
ぽつりと何かが聞こえたがリディアに聞いても、首を振った。なら、聞き間違いか。と結論付けてサメラは気にしない事にした。
「私は、死なぬ!」
「!?」
声に反応して振り替えるとゴルベーザは、クリスタルを手にして消えた。
「しまったクリスタルを!」
「…………」
どうして気付かなかったのだろう。自責の念にかられる。
「くそ。やられた…!」
手のひらから、滴が流れた。
赤い赤い血色がクリスタルに落ちた。
「サメラ、」
「……倒せたと思ったのが浅はかだった。恥ずるのは、倒せたと思う幼い考えだった。だから、私は弱い。」
大刀を終い、血の流れる手のひらにザバザバとハイポーションを掛けて、静かに瞳を閉じた。
「頑張らないと。」
静かに呟いて、サメラは何時ものように最後尾に位置付いて王の間に戻って行った。
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