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「…なんでもない。ただの紅の海対策だ。」

「…サメラ?」
「んぅ…?」

目を擦り、意識の覚醒を急めた。どうやら意識を失ったみたいだ。視線を動かすと、全員無事みたいでほっとした。

「…全員無事か?」
「あぁ、じゃがエンタープライズがいかれてしもうた。このままの飛行は、残念ながら無理じゃ…。」
「いったん、降りてみよう。」
「そうだな。あっちの方向に城がある。行ってみるのか?」

飛空挺から降りて、地を踏みしめると、土が乾いた音を鳴らした。…この様子では水はあんまり期待出来なさそうだな。なんて、ぼんやり歩きながら考えながら最後尾に位置付いた。気付けば既にパーティの母親役だ。

「…?」

左腕に微かな痛みを覚えたが、あえてサメラは口にしなかった。訴えたら訴えたで、周りから、質問責めにされるのが目に見えていたからだ。気づかれないようにローブを纏う。

「どうかしたのですか?」
「…なんでもない。ただの紅の海対策だ。」

目深にフードを被って、静かに息を吐いて耳を澄ました。リズミカルな甲冑と踏みしめる砂の音とごぼごぼ言いそうな紅い海の音が響く。

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