空は朝日を含み濃く燃える。
気付けば、空は朝日を含み濃く燃える。
そんな時刻なのかとサメラは小さく呟いた。
ただ考えを纏めずに一晩中こうしていたのか。地に腰を下ろし、何をするでもなく、ぼんやり宙を見つめていた。
「サメラ?」
「……ああ、今行く。」
遠くから名前を呼ばれ適当に返事を返して、目を閉じて静かに息を吸った。
帰る場所は無くしたが。
往く道はたくさん有る。
迷えども進路は変えれる。
もう迷う事なんかするか。
もしも迷う時があるとしたら。
誰かのために迷う時であろう。
朝の冷たさを感じてサメラは仲間の処に戻る。その前に、足を閉じくるりと振り返り一礼してからもと来た道を歩きだした。
「今行く。」
何食わぬ顔をして、サメラは歩きだした。
私は往きます。
もしかすると逝きます。
それでも活きます。
それでも生きます。
往きて逝きて行きて生きます。
あなたがたのもとには。
まだ暫く行きません。
覚えておいてください。
もしその時が来るならば。
その時は、すべてを終えてからですかね。
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